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拝啓 私は地球からやって来た。 |
オゾン層とは オゾンは酸素原子3個からなる化学作用の強い気体で成層圏(10〜50km上空)に多く存在しており、このオゾンの多い層をオゾン層といいます。オゾン層は、太陽からの有害な紫外線を吸収し、地上の生態系を保護しています。現在、クロロフルオロカーボン類などから生じた塩素・臭素によるオゾン層破壊が、ほぼ全世界で生じています。オゾン層破壊は、特に南極域の春季に発生するオゾンホールに顕著に現れています。このようなオゾン層破壊に伴って、有害紫外線(UV-B)の増加による皮膚がんや白内障など人の健康への影響とともに気候への影響も懸念されています。また成層圏オゾンは、成層圏の大気を暖める役割があり、地球の気候の形成に大きく関わっています。 オゾンの生成・消滅 高度30kmより上空では紫外線により酸素分子からオゾンが生成されています。一方オゾンは酸素原子と反応することにより消滅しています。上空のオゾンはこれらの生成・消滅のバランスを保ちながら存在しています。 オゾン層の観察 オゾン全量・反転観測:地上に到達する紫外線の強度比を測定することによって、上空のオゾン全量を観測します。また大気をいくつかの層にわけ、それぞれの層のオゾン量も観測(反転観測)します。 オゾンゾンデ観測:気球に吊した観測機器により上空のオゾンを直接観測し、詳細なオゾンの高度分布を知ることができます。 オゾン層の破壊 現在、人造物質であるクロロフルオロカーボン(CFCs;フロンとも呼ばれています)等に起因する塩素、臭素によるオゾン層破壊が熱帯地域を除くほぼ地球全体で進行しています。そのオゾン層破壊は、特に南極域の春季に発生するオゾンホールに顕著に表れています。このようなオゾン層の破壊に伴って有害紫外線(UV-B)の増加が懸念されています。 上空40km付近では、紫外線によってクロロフルオロカーボン等から解離した塩素原子がオゾンを次々と破壊しています。 高度30kmより下の成層圏では、塩素原子は通常、オゾンを破壊しない化合物に姿を変えて存在しています。ところが、南北両極、特に南極上空の高度15〜20km付近では冬に著しく低温の状態となり、極域成層圏雲(PSCs)と呼ばれる雲が発生します。この雲粒子の表面及び太陽からの紫外線による光化学反応によって、塩素が活発化してオゾンを破壊します。オゾンホールはこれらの反応によりオゾンが急速に破壊されて形成されます。火山噴火による硫酸粒子の表面でも、同じようにオゾンを破壊する反応が起こります。 オゾン層破壊物質とは フロン類であるCFCおよびHCFCのほか,ハロン,四塩化炭素,1-1-1トリクロロエタン,臭化メチルなどがあります。 なお,フロン類のうち,HFC(ハイドロフルオロカーボン)はオゾン層破壊物質ではありませんが,非常に強力な地球温暖化物質です。 オゾン層破壊の影響 オゾン層におけるオゾンの量が減少すると,有害紫外線(UV−B)の地上照射量が増大し,皮膚ガンや白内障の増加,さらに免疫抑制などの人への影響のほか,陸生,水生生態系への影響などが懸念されています。 オゾン層の保護対策 国際的に協調してオゾン層保護対策を推進するため,「オゾン層の保護のためのウィーン条約」(1985年)及びこの条約に基づく「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(1987年)が採択され,一定の種類のオゾン層破壊物質について生産量等の段階的な削減を行うこととされています。 我が国では,1988年に「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)」を制定して,1989年7月からオゾン層破壊物質の生産・輸出入の規制を開始しています。 |